沖縄のホテルで待つだけで診療ができる「ぬちまーす号」とは?ホテルマンが自身の経験を元に解説

沖縄観光
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さや
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はいたい~さや(@haisaisaya)です!

沖縄移住した元ホテリエと現役ホテルマンの私達夫婦ですが、普段からホテルステイをするのが大好きで、仕事としてだけでなく、沖縄のホテルに子連れで頻繁に宿泊しています。年間何十泊もする中で、子供が産まれてからはホテル滞在中に体調不良や怪我などのトラブルを何度も経験しました。

そしてホテルマンとしても、沖縄へ来る旅行者の急な体調不良や怪我、夜間病院の紹介、救急車の手配等、医療関係の対応をする場面が多々あります。

そんな中、新たに始まった実証事業、「観光客向け医療MaaS※ぬちまーす号」というサービスを知ったので、今回は沖縄在住頻繁にホテルに宿泊する実際にホテルで働いている、そんな私達だからこそ伝えたいこの事業について、実際に体験したトラブルを踏まえながら紹介したいと思います。

※     MaaS=Mobility as a service の略

この記事を書いた人

名古屋から沖縄移住した元ホテリエのsaya。沖縄のおすすめやホテル情報を発信するInstagramのフォロワーは1.4万人。計50軒の沖縄ホテルに宿泊。

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ぬちまーす号とは?

そもそも【ぬちまーす号】とはどんな事業なのか?

ぬち(命)+ MaaS (Mobility as a Service)

医療機器を積んだ車両が看護師と共にホテルに駆けつけ、看護師のサポートのもと、オンラインで医師の診察を受けることができる。医師の指示の下、看護師によるバイタルチェックや処置も可能で、必要に応じて、処方薬も2時間以内にホテルにいながら受け取ることが可能。

利用ステップ

相談窓口 070-9126-3158 へ電話!症状や体調を伝え、ぬちまーす号で対応できるか確認

予約可能時間を確認し合意のもと、ぬちまーす号の予約をWEBで行う。あとはホテルで待機!

ぬちまーす号が到着したら、看護師と共にオンライン診療!医師の指示によってお薬等の処方も可能

お薬が必要な場合、薬局から2時間以内を目途にお届け

これからテーマパーク「JUNGLIA」もでき、より多くの観光客が訪れると予想される沖縄県では、医師や病院不足、そして観光客が集中するエリアにおいて、重傷者リスクの低い患者の救急外来の利用等、多くの課題が山積みになっています。

そんな課題の解決策のひとつ、そして観光立県としての安心・安全の付加価値を目的とした実証事業が、地元沖縄の企業や自治体など30を超える団体があつまり、2025年1月24日~スタートしました。

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ぬちまーす号に関しては後程詳しくお伝えします

実際に滞在中に経験したトラブル

では利用シーンはどんな時なのか?まずは、私達が普段からホテルステイをする中で実際に経験したトラブルをいくつか紹介します。ホテル滞在中、いつ誰にどんなことが起こるか分からないので、頭の片隅にでもこの事業が思い浮かぶと、ひとつの選択肢になるのではないかと思います。

2歳の娘が頭部を打ち、その後嘔吐

当時2歳だった娘が、とある沖縄ホテルの大浴場の床で滑って転倒。そしてその2時間後に何度も嘔吐を繰り返してぐったり。まだ寝る時間ではないのにうとうとしてしまうので、これはまずいと思って、すぐ小児医療電話相談#8000に電話しました。

病院を受診したほうがいいとのことで、慌てて一番近くにある総合病院の夜間救急へ。このとき私はいつもと違う娘の様子が心配でパニックになり、ホテルから出す際に車をぶつけました(10年以上の運転歴ではじめて)。

病院についてからも嘔吐してぐったりする娘。念のためCT検査をしてもらい、結果は異常なし。最低でも24時間は要観察で、病院を後にしました。翌朝にはいつもどうりの娘に戻り一安心。今まで2児のこども達を子育てしてきた中でも最も辛かった思い出です。

この時は自宅近くのホテルで、私自身の家族も沖縄へ来ていたタイミングだったため、0歳だった次女を預けることもでき、飲酒もしていなかったので自家用車で運転できました。病院へ行くために家に必要なものを取りに帰り、知っている総合病院へ駆けつけることができましたが、それでも焦って車をぶつけたくらいです。

これが知らない土地だったらもっとパニックになっていたと思います。

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車をぶつけたのも、嘘みたいな本当の話

旅行先で娘が発熱し、帰宅後入院に

旅行2日目の朝に2歳の娘が発熱。ぐったりしていたので、旅行先での予定を全てキャンセルして、連泊していた滞在中のホテルに戻る。食事があまりとれず、解熱剤と座薬を一応持ち歩いていたので使用し、ホテルで安静に。

翌日飛行機にのって帰宅するも、症状がよくならず小児科を受診。肺炎の可能性があるとのことで、総合病院に紹介状をかいてもらい診察してもらうと、ヒトメタニューモウイルスの感染と、軽い脱水症状があるとのこと。酸素の数値もよくなく、そのまま5日間の入院になり、2歳の誕生日を病室で過ごすことになりました。

きり
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旅行先ではどこの病院を受診すべきか迷うけど…

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もっと早く病院を受診しておくべきだった

ホテルのソファから転落してたんこぶ

沖縄北部のホテルで、テンションのあがった娘がソファから転落。腰くらいの高さのソファベッドでしたが、頭から落ちたため後頭部を打つ。娘は号泣し、すぐにたんこぶに。前回の事があったため、心配になりすぐに病院を受診しようと思うも、一旦落ち着いて#8000に電話相談。

様子見でいいとのことで今回は病院受診せず、翌朝にはたんこぶも引き、症状の変化もなく元気に過ごしていました。

きり
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沖縄北部だとどこの病院へ行けばいい?

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もし2人も飲酒していたらタクシーでいくことになってたかも

ぬちまーす号の利用シーン

ぬちまーす号はどんな時に利用する?

上記で紹介した私自身の体験談はあくまで一例で、他にも滞在中に熱が出たり、嘔吐したりと、子供が体調不良になったことは何度かあります。全てがぬちまーす号の利用対象というわけではありませんが、誰にでも起こりうることとして想像していただけたでしょうか。

では、ぬちまーす号はどんな利用シーンがあるのか?

  • 突然の発熱や体調不良
  • 軽度のけがや体調不安
  • 夕方や夜間、近くの一般外来が空いていない時

【診療時間】・木~日 18時~22時 ・土曜日や祝前日 18:00~26時

2025年1月24日~3月末までは、社会実装が可能か検討を行う実証実験期間で、サービス提供はリゾートエリアの診療所等の診療時間後である、18時から曜日限定で実施しています。

実証期間では宿泊施設の稼働率の高い曜日で検証を行っているため、対応できるのは木曜日・金曜日・同曜日・日曜日のみです。

ホテルマンの立場として

実際にホテルで働く立場としてもホテル滞在中のゲストに夜間受信できる病院を紹介したり、救急車手配の依頼をうけることがよくあります。

ホテルでよくある事例

  • 浴室で子供が転倒し、頭から出血→夜間救急紹介
  • 夜間の急な嘔吐・下痢→薬が欲しいとの依頼
  • 高齢者が階段で転倒し、怪我
  • 海やプールでの怪我
  • こどもの熱性けいれんで救急車要請
  • 発熱→体温計やアイスノンの貸出依頼、病院紹介
  • 軽傷と思われる症状での救急車依頼

もちろん重症での救急車手配もありますが、実際によくあるのは軽傷での救急車手配や夜間救急の利用。

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ゲストに救急車を呼んでほしいと言われたら手配しないといけない

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薬事法により、ホテルから薬の提供もできません

沖縄の医療ひっ迫が問題に

ぬちまーす号の実証事業の目的のひとつは「医療機関や救急搬送の課題解決」です。

地域の限りある医療資源を守り、緊急性の高い重症患者の治療・搬送等が適切に行われるように夜間救急外来のコンビニ受診(緊急を要さない状況における受診)や緊急を要しない救急要請を抑制できるよう、利便性の高い医療サービスとして「ぬちまーす号」を運行し、適切な医療提供体制を確保し、救急外来において緊急性の高い患者を迅速に対応できる環境を整備します。

​​※引用:ぬちまーす号 特設サイト

沖縄では医師や看護師不足もあり、日ごろから医療ひっ迫の問題が提議されれいます。沖縄移住した私達が感じるのは、病院の待ち時間の長さ。小児科や内科、救急外来等、何度も受診する機会がありましたが、いつ行っても混雑していることが多く、移住前に住んでいた名古屋や地元岐阜にいたときに比べると、沖縄中部ですら病院が少ないように感じます。

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熱性けいれんでも診てもらえなかったことも

また、時間外の救急外来の利用者も多く、以前娘が熱性けいれんを起こした際、#8000(小児医療電話相談)のアドバイスで、総合病院の救急外来へ駆けつけましたが、混雑&小児科医が対応できないから数時間は待つとの理由で、受診できなかったこともありました。

実際に大きな総合病院を利用すると、2~3時間以上待つこともざらにあります。

ぬちまーす号の主なサービス

ホテルで待つだけで診療

看護師が医療機器を積んだぬちまーす号で伺い、医師(オンライン)の指示により聴診やバイタルチェックなど行いながらオンライン診療を行います。

看護師が補助・充実した医療機器

ぬちまーす号には、心電図系や聴診器、パルスオキシメーター、血圧計などを完備。看護師が医師の指示により診察の支援や処置を行ってくれます。

薬の処方

診察の結果、薬等が必要な場合には、医師の指示により、必要なお薬を薬局から2時間以内を目安にお届け。(連携薬局:すこやか薬局)

支払額の目安

ぬちまーす号は一般外来の自由診療にあたります。利用料は下記の通り、決して安くはありませんが、ホテルからタクシーの往復(恩納村から中部3大病院までの深夜料金 約12,000円~)や、紹介状なしで大きな病院を受診する際の完全自己負担となる選定療養費約7000円、 そして3割負担の保険診療や病院、薬局での待ち時間を考えるとあまり大差ないのではないかと思います。

■診察~処方箋発行 2万5000円

(含まれるもの:ぬちまーす号派遣・看護師派遣・オンライン診療・医療機器使用・服薬指導・処方箋発行)

■​お薬代およびお薬の配達料 4200円

(医師の指示によりお薬の日数は変動します。必要に応じて6日以上のお薬が必要な場合1日分につき500円)

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ぬちまーす号を利用した場合と、夜間救急外来を利用した場合を比較してみました

英語対応可能なスタッフもいるため、外国の方にも対応可能です。他の言語での対応も、相談窓口に一度相談くださいとのこと。また小児科の対応も可能のようなので、小さなお子様の体調不良でも利用できます。

まとめ

今回は、観光客向けに新たに始まったサービス【ぬちまーす号】を紹介しました。沖縄在住のホテルマンとして、そしてまだ小さい子供を育てる親としてもこのサービスを知った時、もっと多くの人に知って欲しいと切実に思いました。実証実験の段階ではありますが、今後も継続して欲しいサービスです。

沖縄旅行へ来る方、実際の経験談でも述べた通りいつ何が起こるか分からないため、ぬちまーす号を是非覚えておいてください。パンフレットが置かれているホテルもあるようです。

Profile
きりさや夫婦

はいさい~! 夫の『きり』と妻の『さや』と申します。
2人ともホテルマンで、将来は沖縄に小さなホテルをオープンすることが夢です。大好きな沖縄に保護猫2匹と移住をし、刺激的で楽しい毎日を送っています。
詳細なプロフィールは↑のリンクから

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