はいたい~さやです
今回は沖縄移住したホテルマン夫婦が思う、ホテル勤務に向いている人と必要な資格とスキルを紹介します。実際ホテル勤務は華やかでやりがいもある一方、過酷な仕事でもあり、すぐ辞めてしまう人も多くいます。宿泊業と飲食サービス業の離職率は他の職種よりも最も高いです。
この記事では実際のエピソードと共に紹介するので、ホテルに就職したい、ホテルで働いているけど自分が向いているのか不安という方の参考になれば嬉しいです。
この記事を書いている私の簡単な経歴↓
Profile
名古屋の外資ブランドシティホテルに5年半勤務
(ベルスタッフ、フロント、宿泊予約)
↓
沖縄のリゾートホテルに転職
ホテルには様々な部署があり、私も宴会部門や料飲部門に携わったこともありますが、この記事では主に宿泊部の目線で紹介していきます。ホテルの規模や業態によっても業務内容や求められることは異なりますが、私達夫婦が勤務していた中規模~大規模ホテルを思い浮かべて考えてみました。もちろん規模の小さいホテルでもだいたいは当てはまると思います。
記事内の写真は私達が実際に訪れたホテルです
ホテルマンに向いている人
最近は『ホテリエ』と呼ぶことが一般的ですが、このブログ内では『ホテルマン』と明記します。ホテルや部署にもよりますが、男女比はだいたい半分くらいのイメージです。
接客、コミュニケーションがすき
まず、ホテルの仕事と聞いて思い浮かぶのは一番に『接客』です。航空業界と並んで接客業を代表するホテルでは『接客』を外すことはできません。ホテル勤務の中でもバックヤードの事務や清掃など、ゲストと直接コミュニケーションを取ることが少ない部署もありますが、ほとんどの人が『接客がすき』という理由で就職を希望しているといっても過言ではないと思います。
実際にホテルのベルやフロントで働いている人たちはやはりコミュニケーション能力が高い人が多いです。「人と話すのが好き」な人が多いので、職場も賑やかで明るい印象です。
次の項目で述べるチームプレイという観点にも繋がりますが、ゲストに満足していただけるサービスを提供するには部署内、また他部署との密な情報共有が大切です。対ゲストだけではなくスタッフ間のコミュニケーションも重要視されます。
協調性がある、チームプレイができる
協調性はホテルに関わらずどんな職業においても大切ですが、部署内でもチームで動き、他部署との関わりが密接なホテル勤務においても協調性があり、チームプレイが好きな人は向いています。
例えばベル業務。ベルの仕事内容は多岐にわたりますが主にお客様を玄関で出迎え、お部屋に案内をするのがベルの仕事です。ベルの仕事内容を聞くと一見個人で動いているように見えますが、団体到着時の荷物の部屋入れ(バゲアップ、バゲダン)等、チームでテキパキと動くことが必要な場面も多々あります。
私達が働いていたシティホテルでは、海外からの団体到着時に大きなスーツケースを500個ほど、ゲストが帰ってくる前にバスから降ろして部屋に入れるという仕事があり、十数人ほどで細かく業務を手分けしてチームで動くような仕事もよくありました。
またホテルにおいては他部署との連携も多いです。フロントならハウスキーピングや宿泊予約・セールスと関わることが多く、ゲストの予約を取る際には料飲部門とも連携をとります。
もちろん個人で行う仕事も多いですが、ゲストに満足してもらいホテル全体の評価をあげるためにはチームプレイは必須です。
人に喜んでもらうことがすき
ホテルマンにとってのやりがいは、やはりゲストに喜んでもらえることだと思います。その場で喜ぶ笑顔が見れたり、チェックアウト後に口コミやレビューで褒めていただけたりなど、特に名指しでお礼の言葉をいただくとホテルで働いていてよかったな~と思えました。
普段から家族や友達にサプライズをするのが好き、小さなことでも人に喜んでもらえることがしたい方はホテルマンに向いています。
体力がある
『ホテルで働く=夜勤がある』というわけではないですが、部署によってはもちろん夜勤があります。夜勤は健康な体と体力がなけでばできません。不規則な生活で、立ちっぱなし&バックヤードで走り回るような仕事はかなりきついです。
また夜勤の有無に関わらずホテル勤務は立ち仕事が多く、レストランや宴会スタッフはもちろん、フロントも多くのホテルで立って仕事をしています。
またベル・ドアも体力勝負の部署です。ドアマンは外での仕事のため暑い夏や寒い冬は厳しい環境下で働らかなくてはいけません。
ベルの仕事もひとつ前の項目で述べたよう重い荷物を運ぶことも多い上、ロビーなどの共用部では早歩き、バックヤードでは階段を使って走り回っています。
ホテルの仕事を辞める理由で多いのは『夜勤や立ち仕事が辛い』ということです。もちろん働く前から分かっていたことではあると思いますが慣れるまではかなり辛いので、覚悟した上で日々体力をつけていくことが必要です。
柔軟性がある
ホテルではどの部署もゲストの様々な要望に応えて仕事をしています。もちろん各ホテルに部署ごとマニュアルがあり、仕事の基本はマニュアルに従って業務をしているかと思いますが、ホスピタリティが重要視されるホテルにおいては様々な状況下で柔軟に対応することが求められます。
有名な話では、『ザ・リッツカールトン』では各従業員に1日最大「2,000ドルの決裁権」が与えられており、お客様に感動を与えるためなら使っても良いとされています。
もちろんリッツカールトンだけではなく、ホテルではゲストのプロポーズやサプライズでのお祝いのお手伝いをしたり、各国のVIPや芸能人の受け入れ、また日常のやり取りにおいても柔軟に対応することが求められる場面は頻繁にあります。
ホテル全体としてはもちろん、個人の考えやアイデアを提案する機会も多いので、枠にとらわれずできるだけ「No」を言わない姿勢で柔軟性をもつことが大切です。
忍耐力がある
冒頭でも述べた通り、ホテルの仕事は華やかにみえても過酷です。また、どの職種にも言えることですが、理不尽なクレームを頂くこともあります。ホテルのランクやカテゴリーにもよりますが、多くのゲストがホテルに対して期待するサービスのレベルは高く、それがクレームに繋がることも少なくありません。
特にホテルのフロントは、チェックイン&チェックアウトや精算に関わることだけでなく、レストランの対応や料理に関して、部屋の清掃について、旅行会社に対して、他のゲストに対してなど、ホテル内外で起きた様々なことに関する意見を最初に受ける部署でもあります。
もちろん全てを受け止める必要はありませんが、クレームに対してだけではなく様々な場面である程度の忍耐力は必要です。
ホテルマンに必要な資格はある?
結論から言うと、ホテルマンに必要な資格はほぼありません。
- ホテルビジネス実務検定
- レストランサービス技能検定
- ホテル実務技能認定試験
- サービス接遇実務検定
などの資格もありますが、私は上記の資格は持ってません。また、入社後にこういった資格の勉強ができる会社もあります。
実際に大きなシティホテルでも特別資格を持った人は少なかった印象です。但し、就活の際に有利になる資格や、部署によってはあったほうが良いと言われる資格もあるので、一部紹介します。
英検・TOEIC高得点
この後で取り上げるホテルマンに必要なスキルでもあげますが、インバウンドが今後増えるとされている中、語学力はあるに越したことはありません。
英検などの各語学検定・TOEICの高得点保持者は現場で重宝されるため就活においては有利になる場合があります。企業が優遇するのは英検よりもTOEICと言われていて、英語力をアピールするためにTOEICの点数をかくのであれば、日系ホテルなら600点以上、外資系ホテルなら700点以上が目安とされています。(但し明確な基準はありません)
私が履歴書に書いた資格は英検とTOEIC、TOEFLの点数だけでした。
実際入社後にも何度かTOEICを会社で受ける機会があり、その点数に応じた英会話研修なども私が勤めた会社では実施されていました。
運転免許
ホテルによっては免許が必要です。例えば沖縄には電車がなく、各リゾートホテルまで通勤手段として運転免許が必要とされているホテルが多いです。
都心のホテルでもセールスなど運転が必須の部署もあります。
またバレーパーキングをしているホテルの場合ドアマンは運転免許がないと仕事ができません。バレーパーキングサービスがないホテルでも、緊急時や特別対応等で車を運転することはあります。また車種も様々で、ラグジュアリーホテルほど高級車が多く珍しい車も多いので、マニュアル免許を持っていた方が良いです。
ドアマン時代は高級車をビビりながら運転してた
ソムリエ
ホテルのレストランやラウンジ、バーで働きたい場合、ソムリエを目指している方も多いのではないでしょうか。ホテル入社後に実務経験をつみながらソムリエを目指すスタッフが多いですが、中途入社等でホテルレストランで働きたい場合はソムリエの資格を持っていれば優遇されるはずです。
ホテルマンに必要なスキル
ホテルマンに特別なスキルは必要ありません。スキルは働いている間に身についていくものなので、特に何もスキルがないからといって心配することはありませんが、上記に述べた資格と同じであった方が良い、また身につけるべきスキルはいくつかあります。
ここでは主にサービス部門について述べていくので、調理部門、フィットネスやエステ、マリンスポーツなどの部門は除きます。(ちなみにマッサージやエステなどは外部の業者へ委託しているホテルが多いです)
語学力
資格の項目で、TOEICの点数についてもふれましたが、語学力についてはもちろんあった方が良いです。特に資本が外資のホテルや、外資系ブランドのホテルに勤める場合はある程度の語学力(英語)は必要です。
以前勤めていたホテルではゲストの半分近くが外国人であることも多く、フロントでのチェックインチェックアウトはもちろん、ゲストとの内線やメールも英語です。日本時間の深夜には海外から電話が入ることも多く、エージェントやゲストと英語でやり取りし、ホテルシステムに不具合があった時などもリモートで英語でチャットなどをしなければいけませんでした。
また、会社自体が外資であれば、対ゲストではなく、対従業員に対しても英語が必要な場合もあります。その場合は社内メールや、レポートなどの作成、プレゼンなども英語で行う場合があります。
英語のレポート作成は苦労した…
英語がうまく話せなくても大丈夫
ホテルによってはそもそも外国人利用が少ないホテルもあるので、英語が不安な場合は入社前に外国人比率を聞いてみるのもいいと思います。外国人比率が少ないホテルでは、いざとなれば英語が得意なスタッフに接客を変わってもらえる場面もあるのでそこまで心配はいりません。(但しトライする姿勢は大切)
また外国人利用が多いホテルでも、スタッフみんなが英語ペラペラというわけではなく、英語があまり話せないスタッフもたくさんいました。それでもなんとかコミュニケーションは取れているし、各部署で使う英語のフレーズは同じパターンが多いので、長く勤務していれば自然と話せる&聞けるようになってきます。
私も英語が得意なスタッフの英語に耳を傾けたり、メールの返信なども参考にして、働きながら英語を身につけていきました。
英語はうまくなくても全然大丈夫!
観察力
ホテル勤務において観察力はより良いサービスをする上でかなり重要です。サービスの良いホテルのレストランで食事中にフォークを落とすと、すぐに新しいフォークを持ってきれくれます。
京都ブライトンホテルに宿泊した際、チェックアウトした後に財布をがさごそしていると、「駐車券お探しですか?こちらお使いください。」とほんの数秒でベルスタッフの方が駆けつけて駐車券を差し出されました。
スタッフが常にゲストを観察していて気づきが良いホテルは素晴らしいサービスを提供してくれます。
例えばフロントはゲストがいない際はパソコンと向き合う時間が長いですが、フロントカウンターに立っている時は、エンターを押す度にロビーに顔を向けることを意識していました。
観察力は是非身につけたいスキルです。
先読みする力
観察力とも似ているところがありますが、この後何が起こるか、このゲストはこの後どこに行くのか、隣にいるスタッフは次に何をするのか、など常に観察し先読みをすることもより良いサービスや迅速な対応、また危険やクレームの回避につながることもあります。
来週のこと、来月の繁忙期のことなどの計画をたてることももちろん大切ですが、この後すぐ起こるであろうことを先読みして行動することの積み重ねが良いサービスに繋がります。
提案力
セールス部門には必ず必要な提案力ですが、フロントやベル、予約部門やレストランでもゲストに様々なことを提案する力は必要です。
フロントや宿泊予約で働いていたときは、プロポーズの相談を受けることも多々ありました。実際にスイートをショールーム(見学)し、どこでどうやってプロポーズをするか、プロポーズ前後のお店や花の手配、成功した時の写真撮影やケーキまで細かな打ち合わせをすることもあります。
プロポーズは分かりやすい例ですが、オーバーブッキングで部屋が用意できないとき、部屋にトラブルがあって使用できなくなったときなど、イレギュラーが起こったときも咄嗟の提案力が必要です。
まとめ
今回は実際にホテルで働いてきた私が思う、「ホテルマンに向いている人」「ホテルマンに必要な資格とスキル」を紹介しました。あくまで一例なので全てに当てはまる必要はなく、なんとなく向いてそうだな~と思えばホテルで働くことにチャレンジしてみてもいいと思います。
ホテルは特にスキルがなくても働ける職場です。体力的、精神的にきついことももちろんありますが、それ以上にやりがいや楽しさも多く、私はホテリエに向いていると思っています。
ホテルで働きたい方、現役ホテルマン(ホテリエ)の方々の参考になれば嬉しいです。
コメント